こんにちは、のらねこです。
タイでビジネスをする際に、現地の巨大グループを形成する財閥企業の存在を忘れるわけにはいきません。
タイではそれほどまでに影響力を持った現地企業が多く存在します。
私自身もタイ企業について少しずつ勉強している最中ですが、
知識定着のためアウトプットしながら、ブラッシュアップしていきたいと思っております。
タイに赴任当初の頃は、マーケティング先は日系企業しか見ておらず、
タイの会社を知ることもありませんでしたが、少しづつ勉強しながら覚えていきました。
ちなみに、私の場合はこの本「ASEAN企業地図」を愛読して学習しています。
イラストも多く非常にわかりやすくまとまっていますのでおすすめです。
タイの財閥企業とは
日本でも戦前は財閥企業(三井財閥、三菱財閥、住友財閥、安田財閥)が事業グループを持っており寡占状態となっていました。
しかし、財閥があると自由競争が生まれないため、財閥は戦後GHQによって解体されてしまいました。
一方でタイでは現在でも財閥企業が多くが存在感を示しております。
つまり、タイは自由競争が生れにくいという特質を持った国といえるでしょう。
また、これらの財閥企業はネットワークやサプライチェーンの独占だけでなく、ASEAN諸国とも密接につながっております。
グローバル・ウェルス・レポート(Global Wealth Report)2018年によれば、タイ人富裕層の上位1%が、国の総資産の3分の2を保有しているということです。
ここから見て取れることは、タイは相当な格差社会であるということです。
裕福ではない人たち(若者を中心に)は、「不条理」と感じている方も多いという、問題もはらんでいます。
東南アジアビジネスで財閥企業について深く知っておくことは、ある種「教養」とも言えますので、どんどん情報をアップデートしながら勉強していきましょう。
本日は第一弾としてタイで最強とうたわれる企業「CPグループ」について、お届けしていきたいと思います。
CPグループ
CPグループはタイでも最も知名度のある企業の一つです。
大小系列企業は300社以上の関連会社を持ち、タイのみならず東南アジアや中国、香港、欧州、ロシアなどでも事業を展開しているタイ最大の複合コングロマリットグループです。
年間総売上高は1兆5000万バーツ(約5兆円弱)。
従業員も全世界になんと30万人以上いる一大企業グループ。
日本でもCP食品が売られ始めおなじみの会社です。
(日本のセブンイレブンの「セブンオリジナル」の商品は実は、CPのOEM商品が多数)
Charoen Pokphand (チャロン・ポカパン)の頭文字を取って「CPグループ」と呼んでいます。
CPグループは、もともと1921年に植物の種を売買するところから発祥となっています。
創業一族のチャラワノンファミリーは広東省東部の満州出身の華僑です。
現在のタニン・チャラワノン(Dhanin Chearevanont)がCEOに就任後、
小売り、不動産、通信、保険など多角化サービスを行いながら、CPグループはタイ最大のコングロマリットへと急成長していきました。
タニン氏は現在では、Senior Chairmanの座につき、中核事業の経営は3人の息子達を中心として事業拡大しています。
基本情報
企業名 :CHAROEN POKPHAND GROUP CO.,LTD. 証券コード: 代表者 :Soopakij Chearavanont(Chairman) URL :https://www.cpgroupglobal.com/ 設立 :1921年 資本金 :17,616,500,000 バーツ(約610億円) 売上規模 :28,862,361,684 バーツ(約1,000億円)2021年度 ※グループ総額:1兆5000万バーツ(約5兆円弱)
CPが行う多角化ビジネス
- 小売事業 : CPALL、セブンイレブンフランチャイズ、makro、ロータス
- 畜産・水産業: CP食品(鶏肉・豚・魚など)、CPメイジ、PCG(ペットフード)
- 通信事業 : true、true Money Wallet
- 不動産事業 : マグノリア(都市開発)、True Digital Park(CS)、Whidzom(Condominium)
- ファンド事業: 中国中信(シティック)への1兆円規模の出資(伊藤忠商事と共同出資)
- 生命保険事業: 中国平安保険(ピンアン・インシュアランス)への出資(中国最大級)
- 医薬品製造 : 中国生物製薬(シノ・バイオファーマシュティカル)への出資
CPグループ 強み
CPグループの強みは、川上から川下まで自社で完成させることができる一気通貫システム。
14 種のビジネスグループを持ち多くの事業を関連させてビジネスを行っています。
例えば、主力の鶏肉養殖であれば、飼料から飼育、製品化、販売先、販売ルート、通貨まで一気通貫で行うことが可能です。
このように傘下の系列企業を有効に生かしながら、事業領域を拡大し続けています。
CPの14種のビジネスグループ
① Agro-Industry and Food Business Group
② Feed Ingredients Trading Business Group
③ Crop Integration Business Group
④ Pet Food Business Group
⑤ Seed, Fertilizers, and Plant,Protection Products Business Group
⑥ Pharmaceuticals Business Group
⑦ Automotive Business Group
⑧ Packaging Business Group
⑨ Retail and Distribution Business Group
⑩ International Trading Business Group
⑪ E-Commerce and Digital Business Group
⑫ Telecommunications Business Group
⑬ Finance and Banking Business Group
⑭ Property Development Business Group
CPグループで柱となっているグループの中核事業は3本柱。
①CPオール(CPA) :セブンイレブンとサイアム・マクロを核とする事業 ②CPフーズ(CPF) :CP食品と外食チェーンを擁する食品・飼料統括 企業 ③通信大手トゥルー:通信事業だけでなく、電子マネー決済やイーコマース事業でシェア拡大中
最近では、セブンイレブンを中心とした電子決済「true Money Wallet」もひろがり、
コンビニの窓口で航空機チケット決済ができるなど決済の幅を広げています。
そして核の3事業会社を中心とした相互のシナジー効果をもたらし大きく拡大をつづっけています。
近年注目するべきは、中国IT大手アリババと提携しており、Eコマースにも注力しています。
今後は「CP経済圏」という言葉も生まれていくのかもしれないぐらいタイでは圧倒的な存在感を示す企業です。
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チャロン・ポカパン・フーズ
事業の最も大きい分野は食品部門のCPフードはグループ内の売り上げの3分の1を占めるており、主力分野です。
チャロン・ポカパン・フーズ 基本情報
企業名:Charoen Pokphand Foods PCL
業種 :配合飼料、農場運営、食肉、調味・レトルト食品
資本金:260,000,000USD
従業員:25,000名
タイ最大の富裕一族
米経済誌フォーブスが発表した2019 年版の世界長者番付では、タイ勢としてはCPグループのファミリーが圧倒的。
会長のタニン氏(Senior Chairman)は息子3人娘2人で、息子達が関連事業の中核を担っている。
まさに家族経営企業そのものです。
そして、伊藤忠といった海外の企業との提携もしていくところは、
ONE PIECEで例えるとジェルマ66との提携も連想させるなど、
まさに「タイ財閥界のビッグ・マム」ということが言えるのではないでしょうか。
おわりに
ここまで盤石の企業、CPグループ。
一族経営が強いCPグループは、タイの富裕層として圧倒的な存在感がありますが、国民からは不満の声が上がり一時期はセブンイレブンでの不買行動もあったようです。
タイは人口も頭打ちとなり成熟化してきているため、今後は世界進出をしていくうえでは企業イメージを高めていく必要も出ていくのではないかなと思います。
今後のCPグループの活躍も注目が高まります。
ほな、バイバイ!
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